お使いのブラウザが古くなっています。ブラウザを更新してください

© Ziedlejas

フィンランドにはサウナがありますが、ラトビアにはPirts(ピルツ)があります。場所であり習慣でもあるピルツは、熱、蒸気、水、触覚、植物の力、そして歌を取り入れることで身体、心、魂の浄化を促します。民謡は、ラトビア人にとってのピルツの重要性について多くの手がかりを与えてくれます。ラトビア各地のピルツ小屋の壁でよく見かける歌の一つをご紹介します:

Pirtī gāju, pirtī teku | Pirtī balti mazgājos, | Pirtī mana dvēselīte | Ar Dieviņu runājās
ピルツへ、身をまかせ流れゆく、| ピルツこそ、汚れなき白に洗い上げられる聖域、| ピルツにて、神と | わが小さき魂は語らう(Laura Knight ローラ・ナイト訳)

かつて家の中で最も清潔な場所と考えられていたピルツは、女性が出産する場所であり、亡くなった人が埋葬前に洗われる場所でもありました。同時に、一部のピルツ小屋は燻製小屋としても使われていたのです!ピルツ小屋はまさに生から死へのサイクルを見守り続ける、神聖に近い特別な場所として大切にされてきました。

ピルツは主に家族の習慣であり、家庭の温かさの中で楽しまれる一方、多くのゲストハウスや専門のピルツセンターも一般に公開されており、ピルツ小屋を借りたり、約4時間続く本格的なピルツトリートメントや儀式に参加したりすることもできます。訓練されたpirtnieks(ピルツニエクス、ピルツの専門家)が導く儀式は、単なるリラックス、洗浄、またはウィスキング以上のものです。多くの場合、そういった儀式は人生における重要な機会や転換点を意味します。

例えばpirtīžas(ピルティージャ)と呼ばれる儀式は、赤ちゃんの誕生後間もない時期に行われ、新しい命の誕生を共に喜び、母親と赤ちゃんを優しくいたわる一連の象徴的な行為が行われます。今日では両親とも参加できます。ピルツの儀式は、カップルや友人グループにとっても、癒しと絆を深める経験となることがあります。

© Ziedlejas

© Ziedlejas

© Ziedlejas

ピルツの特徴は何ですか?

ピルツが類似の習慣と区別されるのは、地元の木々や植物、そしてそれらが持つ特性を独特な方法で使用するためです。例えばvībotne(ヴィーボトネ、ヨモギ)は天然の消毒剤、鎮痛剤、そして鎮静剤として知られています。こういった植物はサウナのベンチに敷き詰められたり、天然スクラブに混ぜられたり、活力ある「マッサージ」に使う小枝のウィスクに使われたり、ハーブティーに調合されたりと、五感すべてを刺激する形で活用されます。ピルツニエクスは、ピルツを愛する人や場面に合った植物を選べるよう、植物の特性に関する知識が豊富でなければなりません。儀式に取り入れる歌や詠唱の中で植物に言及したり感謝したりすることもあります。ピルツのもう一つの一般的な要素は蜂蜜で、トリートメントの終わりに肌に栄養を与えるために擦り込まれます。

ラトビアのピルツでは湿度と温度の比率も重要であり、通常100〜120ポイントの間で変化します。例えばピルツ内の温度が55°Cの場合、相対湿度は約65%になるべきであり、その逆も同様であることを意味します。通常、体を冷やして洗い流すために、隣接する池や湖に少なくとも一度は素早く浸かる(または冬には雪の中で転がる)ことになるでしょう。

これらの「構成要素」を取り入れて自分自身のピルツ体験を作り上げることも、プロのピルツニエクスを全面的に信頼し身を任せることもできます。ピルツの途中には、pirts gariņš(ピルツ・ガリンシュ、ピルツの精霊)がやってきます!この神話的な存在、あるいは魔法の蒸気はピルツのポジティブな雰囲気を作り出し、再訪を促すものとして感謝されています。

© Ogle Sauna

© Илия Воскресенский

もし、ピルツに招待してくれるようなラトビアの家族にまだ出会っていないなら、ラトビアで本格的なピルツ、ピルツトリートメント、または儀式を体験できる素晴らしい場所の中からほんのいくつかをご紹介します:

Ziedlejas wellness resort
『Dezeen』、『Design Boom』、『ArchDaily』、その他の国際的な出版物から高く評価されているZiedlejasでは、ピルツの体験だけでなく、ガウヤ国立公園の美しい景色の中にある現代ラトビア建築とデザインの優れた例を鑑賞することができます。

Lielzemenes
心の安らぎと答えが見つかる場所であり、プロのピルツニエクスになりたい人や自宅で自分自身や愛する人を癒す方法を学びたい人のためのピルツ学校の所在地でもあります。オーナーであるJuris Batņa(ユリス・バトニャ)とAelita Batņa(アエリタ・バトニャ)は、ラトビアのピルツに関する著書が2冊あります。

Ogle floating pirts
自分自身、他者、そして自然界とつながる場所として作られたOgleは、ラトビアの田舎の湖に浮かんでいます。ピルツの後、ゲストはこの手作りの水上キャビンで夜を過ごすことができます。

テクノロジーが深く浸透した目まぐるしい世界においてピルツが提供してくれるのは、原点に戻るチャンスと、英気を養う環境で本当に必要なケアを自分自身に与える機会です。ラトビアにお越しの際は、ぜひプロのピルツニエクスによる儀式を予約してみてください!フィンランドは一人当たりのサウナの数が最も多いことを誇っていますが、ラトビアは一人当たりのピルツニエクスの数が最も多いと言えるかもしれません。