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© Jurģis Rikveilis

世界に一つだけの歌と踊りの祭典

The Latvian Song and Dance Festival(ラトビア歌と踊りの祭典)は、世界最大規模のアマチュア合唱と踊りのイベントであり、ユネスコ「人類の口承及び無形遺産に関する傑作」に指定されています。

Ilmārs Znotiņš, Closing concert "Zvaigžņu ceļā" of Latvian National Song and Dance Festival, 2018 © Archive of Latvian National Centre for Culture

祭典では、合唱から踊り、器楽演奏や吹奏楽など、様々なジャンルのパフォーマンスを楽しむことができます。特に合唱は、ラトビアのアカペラ歌唱の豊かな伝統を象徴しており、祭典のユニークで力強い一面を見せています。

Mežaparks(メジャパルクス)野外ステージでの閉幕コンサートはまさに魔法のような体験です。訪問者は、合唱団の力強い歌声と、伝統的なラトビアの民俗要素と現代的な解釈を組み合わせた、魅惑的な踊りを楽しむことができます。

Līgo(リーゴ)とJāņi(ヤーニ):ラトビアの夏の魂

夏至祭は、おそらくラトビアで最も重要で人気のある祭典であり、6月23日と24日に開催されます。両日ともラトビアの国民の祝日として定められており、盛大に祝われます。

一年で最も短い夜を祝う

この伝統は、播種期と収穫期の間に行われた古代の異教のお祝いに由来します。祝祭では、一年で最も短い夜に、焚き火、歌、踊り、飲食などの伝統的な活動を日の出まで一晩中行います。多くのラトビア人はお祝いのために田園地方に向かいます。日没とともに点火され一晩中燃え続ける焚き火を囲んで歌い踊ることで、夜の魔法にかけられます。

Rihards © stock.adobe.com

祭典は伝統的な信仰に深く根ざしています。人気のある習慣として、蚊に刺されないように焚き火を飛び越えたり、将来の配偶者の夢を見るために野花で作られた花冠をかぶったり、健康と美を願い朝露で水浴びすることなどが挙げられます。夏至の夜に眠ってしまうと夏の間ずっと眠り続ける、とも言われています。夏至祭の古くからの伝統は野花の花冠を作り身に着けることです。女性はヒナギク、ヤグルマギク、クローバーの花冠を、男性はオークの葉の冠をかぶります。

トリビア

チーズやビールなどの食べ物が真夏の祝祭の定番

伝統的なチーズ(Jāņu siers ヤーニュ スィエルス)は、牛乳、凝乳、キャラウェイシードで作られた新鮮で酸味のあるチーズの一種です。ラトビアの夏至祭ではビールが定番の飲み物であり、多くの人々が地元のクラフトビールを好んで飲みますが、自家製ビールを醸造することもあります。

Anna Jurkovska © stock.adobe.com

古代の伝統

古代ラトビア文化は伝統豊かであり、そのほとんどが季節、時の流れ、そして一年を通じた太陽の動きと密接に関連しています。これらの伝統は脈々と受け継がれています。最も注目すべきは夏至祭ですが、他にもユニークな活動や歌、それぞれの祭りに関連する習慣がたくさんあります。

© The Ethnographic Open-Air Museum of Latvia

冬至の伝統

かつてラトビア人は、光が取り戻されたことを記念して冬至を祝いましたが、キリスト教が伝わってからはクリスマスを祝う習慣も始まりました。現在、民俗的な慣習、キリスト教の習慣、現代的な革新が興味深い融合を見せ、12月21日には冬至を、12月24日にはクリスマスイブの両方を祝っています。魅力的な伝統儀式を探ってみましょう。

  • 2月または3月初旬、イースターの7週間前に祝われます。この祭典では、宴会を開きご馳走を楽しみます。天から贈り物を配るとされる古代の女神Laima(ライマ)の行いを真似て、親が子供たちに高い場所から贈り物を投げる伝統があります。

  • ラトビア語で「ķekatas(チェカタス)」と呼ばれる行事への参加は、冬の時期と祭典において非常に重要な役割を果たしていました。仮装した人々が隣人の家を順番に巡り、賑やかな歌や踊りとともに押しかけ、食べ物や飲み物を要求し、人々にいたずらをする行事です。大騒ぎすることによりその家に祝福と豊饒がもたらされると信じられていました。

  • ラトビアの民間伝承においてLieldienas(リエルディエナス)として知られる春分は、昼と夜が同じ長さになる春の中間を意味しています。太陽が戻り日が長くなることは暗闇への勝利を意味するため、太陽は祭典において重要な役割を果たしています。キリスト教のイースターの祝日と同様に、固ゆで卵は生命の始まりを象徴する伝統的な食べ物です。ゆで卵は玉ねぎの皮や赤キャベツなどの自然由来の染料で色付けされるのが伝統です。

  • 冬至(またはziemassvētki ズィエマススヴェートゥキ)は、自然における重要な節目を示す上で、重要な意味を持っていました。注目すべき儀式の一つは、丸太を曳き回し家々を巡ったあと、新しい生命の始まりの象徴として丸太を燃やすことです。

  • マールティニは11月に行われ、秋分と冬至の中間を意味しています。マールティニは収穫後に開催され、山ほどの美味しいご馳走(伝統的には根菜、キャベツ、パン、リンゴ、クランベリー、灰色エンドウ豆が添えられた様々な肉料理)とともに豊かな収穫を祝う祭典です。

©Didzis Grodzs

ダイナ

四行詩のダイナは、古代ラトビアの知恵が詰まった、ラトビアの日々の暮らしを描いた詩で、何世紀にもわたって受け継がれてきました。ダイナはラトビアの文化遺産の一部であるだけでなく、ラトビアのアイデンティティの力強い象徴としても認識されています。

ラトビアのミトン

ミトン作りの伝統は北ヨーロッパの寒い気候の中で育まれ、機能性と芸術性が合わさっています。古代ラトビアの知恵が詰まったダイナと同じように、どのミトンにも、丁寧に編まれた文様に独自の物語が埋め込まれています。

ラトビアの民族衣装

ラトビアの民族衣装は、シンボル、素材、色という言語を通してラトビア人の祖先の物語を伝えてくれます。祖先がどのように暮らし、何を大切にし、信じていたかの手がかりは、色鮮やかな模様のスカートに織り込まれ、金属のブローチや王冠に表れ、シャツの縫い目にも込められています。

Vakarēšana(ヴァカレーシャナ)

ラトビアでは、情熱的で積極的な地元コミュニティのおかげで、民俗伝統が忠実に受け継がれています。ヴァカレーシャナのような古代の慣習を現代においても受け継いでくれるのは、職人から図書館員まで、幅広く存在する地元の英雄たちです。では、デンマークのヒュッゲのいとこと呼ぶ人もいるこの伝統とは一体何なのでしょうか?ヴァカレーシャナは、実用的かつ社交的な意味合いを持つくつろいだ集まりで、人々は集まって雑用を片付け、工芸や手芸に勤しみ、物語、歌、ゲーム、食べ物を一緒に楽しみます。

ピルツ ─ ラトビア式サウナ

フィンランドといえば「サウナ」が有名ですが、ラトビアにも独自の伝統的なサウナ文化があります。それが「ピルツ」です。ピルツは、単なる建物ではなく、心と体、そして魂を整えるための特別な場。熱気と蒸気、水、薬草の香り、やさしい手のぬくもり、そして歌の力によって、深い癒しの時間が生まれます。ラトビアの民謡にもピルツの大切さが繰り返し歌われており、各地のピルツでは、こんな詩が壁に飾られていることもあります。

ご存じでしたか?

クリスマスツリーを発明したのはラトビア人

クリスマスに常緑樹を飾った最初の記録は1510年で、その木はリガで装飾されたと書かれています。この習慣はドイツの商人たちによって受け継がれ、世界中に広まりました。

ラトビアの民族衣装

ラトビアの工芸技術は民族衣装に凝縮されており、その製作における丁寧な手作業のため、芸術作品と評価されています。ラトビアの民族衣装の様々な要素のための製織、刺繍、縫製、製作工程では、複雑な技術が求められます。各民族衣装は国内の様々な地域に由来し、多様なデザインが見どころです。

ラトビアの衣装でもう一つ注目すべき点は、装飾やシンボルが生地に織り込まれたり、鍛造されたり、縫い付けられたり、刺繍される形で組み込まれている点です。衣装を彩るシンボルは、古代バルト民族が崇拝していた神々と関連付けられています。Laima(ライマ)、Māra(マーラ)、Ūsiņš(ウーシンシュ)、Jumis(ユミス)といった神々は守護神として崇められ、幸運を呼び込むために神々の力が祈り求められました。

現在着用されている民族衣装は、様々な歴史的時代から受け継がれた要素を融合させています:

  • 青銅の装飾品で彩られた(一般的には)青と茶色の衣装は、7世紀から13世紀に古代バルト族とリーヴ族がラトビアに居住していた時代の出土品に由来しています。

  • 一般的に見られるラトビアの民族衣装は、中世から18世紀、19世紀にかけて生まれた、色彩豊かで模様のある民族衣装です。
    各地域は独自の民族衣装のスタイルを持っており、氏族を識別できるスコットランドのタータンと似ています。より装飾的な衣装は、教会への礼拝、結婚式、洗礼式といった特別な行事のために用意されました。

  • ラトビアの民族衣装は大切にされ、丁寧に保存されており、現在でも主に特別な行事で着られています。一般的には文化的な公演(歌や踊りなど)や文化的な祝祭(夏至や冬至など)で見られますが、結婚式、国の祝日などでも目にすることがあります。

Kokle(クアクレ) – 数世紀の歴史を持つユニークな楽器

クアクレとは?

クアクレは、ツィターに相当するラトビアの撥弦楽器であり、特徴的な音色と音楽的特性で知られています。ツィター、ハープ、ギターとは異なり、クアクレは独特の演奏技術を必要とし、右手の人差し指で弦を弾き、左手は指を軽く置いて弦をミュートします。クアクレは、演奏者の膝の上、またはテーブルの上に置かれます。

クアクレの歴史

この楽器は豊かな歴史を持ち、考古学的発掘により13世紀のクアクレが発見され、17世紀には文献にも登場しています。ラトビア国立歴史博物館は、1710年の最古のクアクレをコレクションに収蔵しています。

現代におけるクアクレ:生き続ける伝統

古代において、クアクレは儀式において重要な役割を果たし、特に葬儀の儀式と深く関連していました。今日、クアクレは国のシンボルであり、ラトビアのアイデンティティの重要な一部となっています。例えば、クアクレは歌と踊りの祭典で非常に重要な役割を担っており、数百人の演奏家がクアクレのみを演奏するコンサートが開催されます。

Laima Jansone(ライマ・ヤンソネ)のような現代の音楽家たちは、クアクレの独特で情感豊かな雰囲気を世界中の聴衆に広めました。

ラトビアでは11月に、歴史上の重要な出来事に関連した国民の祝日を定めています:

  • 独立記念日は1918年の独立宣言を記念して毎年11月18日に祝われます。全国各地で実施されるイベントには、コンサート、花火、たいまつ行列などが含まれており、首都リガで行われる最大のイベントは数千人の参加者を集めています。2009年に始まった現代の伝統では、世界中の人々が同じ時刻、東ヨーロッパ時間EET21:00にラトビアの国歌を歌います。祝賀行事では、リガで実施されるラトビア国軍のパレードも行われ、海軍、国家警備隊部隊に加え、ラトビアがNATOに加盟した2004年以降はNATO同盟国も参加します。

  • ラーチプレースィスの日は、独立のために戦ったラトビア兵のための記念日です。11月11日に祝われるこの日は、1919年のリガの戦いにおいて、パヴェル・ベルモント=アヴァロフが率いる西ロシア義勇軍をラトビア軍が打ち破った決定的な勝利を記念しています。ラーチプレースィスの日は、礼拝、パレード、リガ城や他の公共の場所でのキャンドル点灯によって祝われます。

    豆知識:ラトビア国軍の闘志は、「熊殺し」を意味する「ラーチプレースィス」という伝説の英雄に例えられました。このインスピレーションは、ラトビアの詩人Andrejs Pumpurs(アンドレイス・プンプルス)による叙事詩『ラーチプレースィス』に由来します。この詩はリヴォニア十字軍時代の神話的な英雄ラーチプレースィスの物語を伝えており、ラトビアの国民的叙事詩とされています。

  • ラトビア独立回復記念日は、ラトビア共和国の独立回復宣言を記念する毎年恒例の祝典です。「The White Tablecloth Day(白いテーブルクロスの日)」には、様々なコミュニティの人々が家族や友人と一緒にテーブルを囲み祝うのが伝統です。この日の伝統は、ラトビアの独立のために戦った人々の犠牲を思い起こさせると同時に、コミュニティの重要性を強く感じさせます。

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