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© Anda Ozoliņa

ラトビアらしい家とは何か?他と一線を画す独自のデザイン美学や規範は存在するのか?この問いを探るため、国際的経験を持ち、ラトビアを代表するクリエイターであるOAD主席建築家のZane Tetere-Šulce(ザネ・テテレ=シュルツェ)氏と、インテリアデザイナーのAnda Ozoliņa(アンダ・オゾリニャ)氏に話を聞きました。2人の見解は?答えは形より機能と本質にあります。

テテレ=シュルツェ氏にとって、鍵となるのはラトビアの概念である「dzīvesziņa(ジーヴェズィニャ)」、つまり人々の共有信念体系、あるいは人生を導く世界観です。今日、多くの人々が風水やインドの建築学であるヴァーストゥ・シャーストラといった国際的な思想に魅了されますが、自分のルーツを忘れず、地元の地理的・文化的背景を考慮するよう彼女は促します。「これらの思想はすべて共存できますが、自分が何者であるかを決して忘れてはなりません」と彼女は言い、多くの答えは「ラトビア文化正典」(ラトビアの芸術と文化的価値の最も傑出した重要な作品を集めたもの)にも含まれる歴史的なラトビアの農村地帯、そしてそれに関連する慣習や儀式の中に見出せることを強調しました。

© The Ethnographic Open-Air Museum of Latvia

© The Ethnographic Open-Air Museum of Latvia

© The Ethnographic Open-Air Museum of Latvia

魔除けと健康を願ってナナカマドの枝を戸口に飾ったり、人々が集まって手芸や修理をしたり親睦を深める冬の儀式「vakarēšana(ヴァカレーシャナ)」の実践といったささいな行為でさえ、ジーヴェズィニャへの理解に繋がり、ラトビア人が自然のリズムと深く結びついていることを示しています。

ラトビアの家は、大切に受け継いできた職人技によっても特徴づけることができます。「職人技とは、自然や自身の身体との繋がりを持つ方法です。つまり、サイクルの一部であるということなのです」と、テテレ=シュルツェ氏は語ります。

今日、このことは自宅の建設や歴史的建造物の改修、家具の手作りの人気が高まっていることからも感じられます。『Lauku māja(田舎の家)』や『Māja laukos(田舎の家)』といった雑誌は、ベンチから小屋、家に至るまで、自らの手で美しいものを創造した才能ある人々を称賛しています。

もっとも、「ラトビアのアイデンティティは、さまざまな形で表現できます」とテテレ=シュルツェ氏は言います。例えば彼女とチームはある顧客の家で、暖炉と「manteļskurstenis(マンテルスクルステニス、煙突)」を中心にデザインを展開しました。これにより自然と人々がそこに集まり、家族として一緒に過ごすことが促されます。その上にある天窓は、ラトビア人にとって大切な神々や星々との対話を促します。

© Anda Ozoliņa

© Anda Ozoliņa

© OAD/ Alvis Rozenbergs

環境と背景を尊重するデザインで知られるAnda Ozoliņa(アンダ・オゾリニャ)氏は、ラトビアの家には時代を超える本質が存在すると考えています。「それぞれの時代には独自の手法がある」と認めつつも、「形や仕上げ、細部は進化しても、基本原則は変わらない」と述べています。オゾリニャ氏によれば、ラトビアのインテリアは素材の選択と色使い — 木材、金属、石、アースカラー、パステル — に特徴があり、これは自然世界との深い結びつきを反映しているとのことです。

オゾリニャ氏の設計作品の数々がこの哲学を体現しており、明らかに現代的でありながら、豊かな自然素材とアースカラーの配色を取り入れています。クライアントは実験的なデザインを求めているわけではなく、オゾリニャ氏がスペインの海辺のコテージのようなものではなく地元の環境と調和するようなものを作ってくれるとわかっているからこそ依頼するのです。家には、ラトビアの精神が宿ります。

したがって、ラトビアの家は特定の形によって定義されるのではなく、細部の積み重ねを通じてラトビアのアイデンティティを反映し、価値観と信念を明らかにすることで定義されるのです。